業界初の脂肪吸引

Sでの情報のやり取りはデジタル情報ネットワークを利用したものだけではない。
「息づかいが伝わる」コミュニケーションこれまでの事例だけを見ると、Sでは本部と店舗がデジタル情報ネットワークという極めて無機的なネットワークで結ばれているという印象を受けるだろう。 しかし、それは事実でない。
Sの場合、デジタル情報ネットワークを補完する形でもう一つのコミュニケーション方法が存在する。 そしてそれは、従来型のチェーン・オペレーションで重視されていた「マニュアル」の限界を超えるための工夫でもある。
Sでは、全国約8千店(2000年度末現在)の店舗とチェーン本部との間には、加盟店を直接指導する約千名を超えるオペレーション・フィールド・カウンセラー(Sの場合、フィールドカウンセラーというスーパーバイザーが一人で7〜8店舗を担当している)、その上にカウンセラーを管理するディストリクト・マネージャー(ディストリクト地区は全国7十カ所以上あり、神奈川地区であれば、藤沢、横須賀、川崎など)、さらにその上にゾーン・マネージャー(神奈川、東京など全国の出店地域をいくつかのゾーンに分けたもの)を配置する階層組織が形成されている。 しかし、実際の情報伝達は階層化された組織ではなく、本部トップ直結型の方式で行われている。

日本のコンビニはフランチャイズ方式を採用しており、加盟店に対する責任の重大さを考えると、トップの意思を末端の社員にまで徹底させることが重要である。 そのためには階層はできるだけ少ないほうがよい。
このように会長のS敏文氏が考えているからである。 Sでは、毎週月曜日、全国のディストリクト・マネージャーとゾーン・マネージャーが東京本社に集まり、会長以下本部役員、スタッフと前の週に発生した問題点を報告・検討する。
加盟店の要望や、各店への配送状況も毎週討議される。 本部トップの判断が必要な案件はその日のうちに結論を出す。
そして、翌火曜日には、全国からやってきたフィールド・カウンセラーと会長以下本部役員、スタッフが前日の会議内容の報告実はFC会議は、Sの仕組みのもともとのフランチャイズ元であった米国S社(現S・インク社)では行われていなかった。 それを、日本のSは創業当初から行ったのである。
FC会議は市場の変化が激しいので、市場に対する情報を共有するためにどうしても必要だと現S会長のS氏が考えた。 Sの教育担当者はそんなことがいつまでも続くのか、マニュアル化してそれを使ったらどうか、と言ったという。
しかし市場の変化が激しい中、マニュアル化してそれを使っても、できと呼んでいる。 を含め、加盟店指導のための情報伝達・交換を行う。
この会議をSではFC会議FC会議で、OFC(オペレーション・フィールド・カウンセラー)は、店員の勘と経験を含んだ市場の動きに関する情報を本部に伝える。 また、本部は、店舗で活かすべき市場や商品の動向に関する情報をOFCに提供する。
ここでいう市場や商品の動向に関する情報とは、販売時点情報を本部や地域単位で集計することで明らかになる。 市場動向のパターン、毎年定期的に実施される買物客調査の結果、あるいは優良店の発注に関する成功談などである。

FC会議を終えた後、OFCは自分の担当地域に戻り、担当店舗を週2回巡回し、各店で本部からの情報の提供と来週のFC会議に備えた、店舗からの情報の吸い上げを行う。 たマニュアルを使うころには市場は変化してしまうとS氏は判断したのである。
そこでマニュアルを作成するかわりに、毎週FC会議を開き、絶えず新しい情報に基づいて行動できるようにS氏はアメリカの場合、マニュアル至上主義によってシステムが硬直化していると言う。 Iが米S社と提携したのは73年だが、91年にIグループが米S社を買収した後、調べてみると、70年代にIがS社と提携した時点のシステムとまったく変わっていなかったのである。
例えば、ハワイのSの店は、日本円に換算すると平均商品在庫を1400万円持っていたという。 それは日本で一号店を出した時(74年)とほぼ同水準であったという。
S氏はそのことについて次のように語っている。 しているのである。
「変化を完全に予測することは不可能だから、変化を予測するのではなく、どんな変化に対しても迅速に対応できる経営体質をもっていればいいではないかと考えている」。 アメリカ流マニュアル経営というのは変化適応力がない。
物を包む包装は世の中がどのようこの点についてS氏は次のように述べている。 FC会議のような人と人とが直に向き合い議論するコミュニケーションの方法について、S氏は次のように語っている。
に変わろうとも包み方に特別な革新が起こらないかぎり、それはマニュアル通りでいいと思う。 しかし、教育とか販売というのはマニュアルでできるはずがない」「われわれのビジネスは情報産業です。
情報によって糧を得ています。 ですからハードを含めて情報に要する投資は、ほかの経費を削ってでもやらねばならぬのがこの仕事です」FC会議でやり取りされた情報は、次のような形で各店舗のオペレーションで活かされる。

「情報の共有化はハイテク技術を使って伝えるやり方と一人ひとりの顔を見ながら、あるいは息づかいを聞きながら、人間の感情や情熱を込めた肉声で直に伝えるのとでは、雲泥の差があると私は思います。 高度情報化社会だからこそ逆に、会社の根幹に関わることは直に、それもとことん討議すべきです。
私は今後もこれをやめるつもりはありません。 経費はあとからついてくるものです……ダイレクトコミュニケーションでなければ伝えられないことがあるはずですから」。
また、OFCは自分が担当している一部の店あるいは、自分が担当しているエリア以外にある店の成功事例について、他のS店にヒントとして情報提供することがある。 日頃、店舗の人が発注に活かしているノウハウとしては、次のようなものがある。
例えば、店の近くで下水道工事がある期間には、砂糖入り缶コーヒーが売れるという。 それは、肉体労働者が砂糖入り缶コーヒーを特に好むからである。
あるいは、店の近くの予備校で模擬試験がある日には、サンドイッチが売れる。 試験の時には、軽い食事が好まれるからだという。
このように、消費者の生活や地域のイベントに合わせた品揃えをすることが、店舗の売上と利益を増やすことになる。 店員が持つ以上のようなノウハウは、様々な店で実践されている。
しかし、それらの活動が一部だけで行われているだけでは、十分ではない。 それらの知識を企業全体で活用することに意味があり、その週に焦点を当てるべき情報についての店への伝達がある。
例えば、ある有望商品についてTV広告が始まることや、かぜが流行するとヨーグルトの売れ行きが伸びるので、かぜ用マスク(かぜの流行を示すもの)の売れ行きに注目しよう、といった具合である。 現在、Sの店に設置されたパソコンでは、膨大な量の情報が分析できるようになっている。

しかし、店でパソコンによる分析をする時間は限られている。 また、少し油断すると店舗の担当者が情報を分析することなく、過去の延長線上で発注量を決めてしまうこともある。

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